《 2号館新築工事進む 》
新校舎出現
2号館の新築工事がだいぶ進んで参りました。12月7日現在で、校舎南側の足場が撤去されました。それは躯体工事が完了したことを意味します。外装工事も終わりました。今後は、教室及び廊下の内装工事に移ります。工事予定は今年度中、平成18年3月中に完成引き渡しを受けることになっています。工事の進み具合は順調であると聞いています。平成18年4月からは新しい教室が使えるようになる予定です。
新しい建物は、下の写真のように、濃い煉瓦色が特徴的な部分になると思います。この色の部分は、柱と梁(横方向の部分)に当たります。建物の西側と東側は、柱、梁に関係なくこの濃い煉瓦色になっています。この工事では1階から4階までは、旧2号館の建物ですから、それに新しい柱と梁を取り付け、耐震工事を施したことになります。それによって1階から4階までの建物の耐震性が大幅に向上することになります。
写真の4と5をご覧戴くと分かりますが、5層目に当たる部分は、窓が入っておりません、そこの部分は教室その他の構築物は何も作らず吹き抜けになっています。本欄「校長のメッセージ第62号」に載せてありますように、この5層目の部分に免震装置が入っています。濃い煉瓦色に塗装した「柱」は全部で22本ありますが、全ての柱は5層部分で上下が免震装置を介して繋がっています。写真1と2は、つなぎ部分を拡大しています。柱に「覆い」がある部分が見えますが、その中に免震装置が入っています。6,7,8階部分は仮に地震が発生しても、下の1から4階部分とは異なる揺れ方になります。6階から上の部分は下より揺れが小さく、「免震構造」になっています。
このように、建物の中途部分に免震装置を組み込む工事は日本で初めての工法であります。日本で初めてということは世界でも初めてということになるそうです。
昨日、私は放課後2号館4階の廊下を通りかかりました。教室の外に取り付けられていた足場がなくなり、同時に窓の外に保護膜として貼り付けてあった白色ビニールが取り外されていました。夕日が差し込んで教室は明るくなっていました。何人かの高3生がその教室にいました。私が入っていって「足場がとれたね」と話しかけると、生徒は「気持ちよくなりました。新宿の高層ビルがよく見えますよ」と晴れ晴れした表情をしていました。私が「長い間鬱陶しかったでしょう、工事で迷惑かけたね」というと「大きな音もなかったし、こういう明るいところで期末試験を受けられるのは嬉しいですよ」と応じてくれました。そんな言葉を聞いて私もほっとしました。
《 耐震強度偽装問題に関連して 》
今日の新聞も耐震強度偽装の話題を大きく取り上げています。国会でも関係者に疑惑について問い糺している場面が放映されています。現在では、一般の建築についても耐震強度が大丈夫か心配になってくるような雰囲気になっています。
本校では、この問題が大きくクローズアップされる前に次のようなことを踏まえて工事に着工しております。
建築基準法では、耐震強度はこれこれの条件を満たしていることと示しております。しかしその基準は必要最小限の条件だそうです。本校では未来のある若者達が多数集まる学校であるから、最低基準を満たすだけでなく、構造計算の上でもそれ以上の強度が保てるように設計するという基本姿勢に立ってそれを守ってきました。施工の面でも、上に挙げましたように初めて導入する工法で臨んでおります。その為建築界では注目されている工事と伺っています。
そのことを示す1つの事例をここでは紹介します。東京大学の建築学科の学生が授業の一環として教授がこの工事を取り上げ、近々に現場授業を実施することになっています。数多く行われている建設工事の中で、間もなく建築の第一線に立つ学生に対して研究の材料として本校の工事を選んで頂いたことに喜びを禁じ得ません。
そのくらい専門家の間では注目を集めている工事だと理解しています。またとない機会ですから、本校で工学部の建築関係に進むことを希望する生徒がその時に一緒してもいいと内諾を戴いています。参加する生徒は大きな刺激を受けることになると思います。
このようなことで、工事の実施についても十分配慮された工事が進んでいると確信しております。
写真1 二号館新築工事の5階部分、免震装置が入っている部分
写真2 免震装置の部分の拡大写真
免震装置の中身の構造は本欄第62号で詳しく載っています。
写真3 足場の撤去は終わったものの前庭の囲いはまだそのままであります。その横を登校時に通過する本校生。
写真4 正門前から見た新校舎
写真5 新校舎の上部
写真6 一号館3階から見た新校舎
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