校長のメッセージ

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和田 征士 平成16年8月31日

《 夏休み中の活動 》 パート1

 前回のこの欄で夏休みの期間をほぼ3つに区切り、それぞれの期間で実施する内容について整理していることを書きましたが、今回は、最初の期間に行われた中学1年生の「海の家」について書きます。
  海の家は、中学校1年生が全員参加する学校行事です。1年生が2クラスずつ3隊に分かれ、1つの隊は4泊5日で学校の施設である「富浦寮」に行って行います。内容は海水での泳ぎ方の訓練と、海の自然観察・磯観察や簡単な実験および、集団で生活するわけですから、みんなが生活しやすいように心がける団体として生活できる基礎的な心構えを養うことなどを中心としたもので構成されています。
  海で泳げるようになることは、自然への認識を深めることにもなり、よりよく泳げるようになることで自らの自信を深めることにに大きく寄与します。近頃多くの学校が実施しないのは、それなりの理由があるのでしょうが、勿体ないことです。人として成長していく大きな節目となる機会をみすみす逃しているのではないかと思います。
  学校としては、一人ひとりの泳力に合わせて6つのグループに分け、それぞれ力が少しでも伸びるように、細心の注意を払って実施しました。なんといっても大自然が相手ですから、事故が起きないように細心の配慮をします。スタッフも本校の教員のほか、卒業生にもお手伝いをお願いし、また、地元富浦の漁協にお願いし、船を出していただきました。
  そのようなことで実施しますが、今回は、実際に参加した生徒諸君の感想を書いてもらいましたので、以下に載せます。

やり遂げた小遠泳

2組 石渡 裕太


  遠泳の日、ぼくは海を見て驚いた。なんと、台風が近づいていて、練習の時とは比べものにならない程波が高くなっていた。ぼくは、この波の中で本当に泳ぎきれるのかどうか不安だった。この中で小遠泳は始まった。初めのうちは順調に習った通りの泳ぎができていたのがそのうちあせって水を一回かいた後に伸びずにすぐに水をかいてしまい思うように進まなくなってしまった。その時、OBが「水をかいた後に伸びろ」とアドバイスをしてくれ、ぼくは、水をかいた後に伸びるように心がけた。すると、前よりも進むようになった。そのまま、ぼくは折り返し浜に向かった。ここからが大変だった。海城のテントが見え始めもう少しだ、とぼくは思ったが、泳いでも泳いでもなかなか浜までたどり着かなかった。そして、浜での応援が聞こえはじめ、やっと浜までたどり着いた。浜に上がった瞬間ぼくは一瞬ふらついたが、達成感と喜びで胸が一杯になった。
  この海の家は、一生忘れられない思い出になった。

富浦での貴重な体験

2組   植村 充


  海の家から帰ってきて、「疲れたな」という思いと、「楽しかったな」という二つの思いがこみ上げてきました。僕が海の家に行く前に心配していたのは、遠泳のことはもちろんのこと、生活面で先生たちに叱られないかということも大きく心にのしかかっていました。
  海の家の生活では、叱られたこともたくさんあったけれど、その分楽しいこともたくさんありました。休憩時間などでは友達と遊んだり話したりして交流を深めました。また、磯遊び、ウオークラリーなど日常の生活では体験できない自然との交流も深めることができました。僕が泳いだ大遠泳では台風の影響で波が高いという悪条件の中で97分間という長い時間を全員が完泳しました。泳いでいるときは、波が高く、何度も水が顔にかぶり、苦労しました。しかし、泳ぎ終えたときは、安心したのと同時に、なんとも言えず感動が僕の心にこみ上げてきました。
  海の家での生活は、水泳面でも生活面でも多くの先生たちや先輩たちによって支えられていて、たくさんの思い出が作れました。海の家で教えてもらったことを、これからの海城の学校生活に生かして生きたいと思います。

貴重な体験

2組 篠ア 勇輔

 海の家の四日目の朝、僕達は、大遠泳を行う為、西浜に着いた。先生に「海がとても荒れているので、気をつけろ」と言われ、海を見ると、今まで泳いだ事がないほど波が高かった。いよいよ海に入り、泳ぎだした時は「一時間半、泳げるな」と思っていたが、沖の方へ泳ぐうちに、波がだんだん強くなり、一生懸命泳いでいても、前になかなか進めなくなってしまった。やっとの事で折り返しをし、陸に向かって泳ぎ始めたが、ますます波が高くなり「もうこれ以上泳げない。限界だ」と思ったが、お世話になった先生方、OBの先輩方に泳ぎきる事で、感謝の気持ちを伝えるのだと思い、頑張り泳ぎ続けた。海岸近くになってから、小遠泳の人達に「頑張れ」と励まされながら、ついに出発した砂浜に着く事ができ、とても嬉しかった。この遠泳は一人では失敗していたと思う。一緒に泳いだ友達や指導していただいた先生やOBの先輩達がいたからこそ成功したのだと思います。一生忘れられない、貴重な体験をする事ができました。

磯という神秘的なところ

4組  岩崎 季路


  僕が一番思い出に残ったのは,磯観察です。生まれてはじめてシュノーケルを使って海に浮かびながら観察しました。ふぐや石鯛といった魚や,ウニやなまこといった棘皮動物を,じっくり観察することができました。網も持っていきましたが,残念ながらいっぴきも捕まえることはできませんでした。途中,銀色に光る数十匹の魚の群れを見つけました。今まで僕が見た魚の中で一番神秘的なものでした。この磯観察が終わった後,ウニの口に注射器で刺激を与えて卵を産ませるという実験をしました。生まれた卵は,最初1時間に1回ぐらいの割合で細胞分裂していました。また今度夏休み中に海に行くことがあるので,そのときにまた様々な生き物を観察したいです。
 

海の家で学んだこと

4組 内田 健太


  僕は、海の家で1番楽しみにしていたことは、遠泳です。
その遠泳の当日は、台風が近づいてきていたので、波がとても高く、初日に熱を出した僕には、出来るか心配でした。しかし、前日に斉田先生に言われた、
  「一人のためにたくさんの先生が大変な思いをしたということを忘れるな。」という言葉を思い出し頑張らないと、という気持ちになりました。
僕は、その言葉や横倉先生が言っていた、感謝の気持ちを忘れずに泳ぎました。
僕が頑張ることが出来たのは横倉先生の言葉や斉田先生の言葉のほかに、皆の応援があったからだと思います。そのおかげで、完泳出来ました。
僕はこの海の家で、たくさんの先生やOBの先輩が支えてくれたことや、集団生活で必要なこと、それと仲間の良さなどを学びました。僕が海の家で学んだことをこれからの学校生活に活かして行きたいと思います。
                   

苦しかった遠泳

4組 梅原 智輝

 ふと気が付くと、もう遠泳は明日にまでせまっていた。僕が6つの班の3番目、C 班に入ってから早くも3日が過ぎようとしていた。前日という事で、全員が食堂に集まり、先生方からはげましの言葉をいただいた。その言葉を聞いて、「本当に明日はもう遠泳なんだ」という実感がさらにでてきてどきどきした。「このままで泳げるのだろうか・・・・・」などと、いろいろな事を考えてしまったが、夜はしっかりと寝られた。
  次の日、起床時間の6時より少し早く目が覚めたので、6時になるまで待ち、先生の声と共に起き上がってきがえた。朝食の時もおちつかず、海に着いてからもそわそわしていた。僕らC 班は大遠泳を泳ぐ事もあり、体操を念入りにした。先生が前で「今日は海が怒っている」と真剣に言っていたので、何のことだろうと思ったが、波の高さが2mもあるということだった。ますます落ち着かなくなってしまった。いよいよ海に入り、前の方の人が泳ぎ始めた。そして先生の合図により、僕も泳ぎ始めた。波が高い。かろうじて前の人の頭が見えるくらいだった。練習の時とはわけがちがう。何分ぐらいたっただろうか。突然、先生やOBの人たちがかけ声を始めた。先生方の「そーれ」という声の後に僕たちが合わせて「そーれ」と言うのである。こっちは海水を口からも鼻からも飲んで、それどころではなかったが、一応声は出した。かけ声が終り、しばらくすると自分達のいた岸が近くなってきていた。
  少し帰ってきたのだ。それを見て、やる気がを出し真剣に泳いだが、少しも岸は近くならない。先生方の2回目のかけ声が始まったが、あまり声は出ない。その時だった。岸で小遠泳をあとにひかえている人達が「がんばれ」と応援してくれたのだ.そのおかげもあり、岸を出てから約1時間半後、ようやく僕達は帰ってきた。みんなほとんど無言のまま岸から上がり、先生から氷砂糖をもらった。それを食べながら、僕は「やりとげた」という充実感に酔いしれた。

感動した小遠泳

4組 須藤 周

 僕は泳力が無いので、1時間以上泳ぐ遠泳には参加せず、30分程度の小遠泳に参加した。
  遠泳がある四日目。遠泳の人たちが見えなくなるほど、遠くに行ってから、だんだん緊張してきた。なぜなら、その日は、台風の影響もあり、波が強く、海が荒れていたからだ。前日まではとても自信があったけれど、その海を見て、少し怖くなった。
  やがて、遠泳の人たちが戻ってきた。全員完泳だそうだ。みんな疲れているはずなのに、多くの人は笑顔だった。そこで僕は思った。同じようにここに笑顔で戻って来たい。
  小遠泳をやっている時は、精神的にも、体力的にも結構余裕があった気がする。たまにOBの先輩や指導の先生が声をかけて、励ましてくれるから、心強い。
  小遠泳は、あっという間に終わった。短い時間だったけれど、完泳することができて、感動した。言葉で表すのは難しいけれど、とてもいい気持ちになった。こんな気持ちを味わうことは少ない。だから、この小遠泳はいい思い出になった。大人になっても忘れないと思う。

写真1 準備体操
写真2 先ず水に慣れる 
写真3 いざ海へ
写真4 小休止
写真5 磯観察
写真6 磯観察
写真7 無事泳ぎ終わる
写真8 楽しい食事