《 中学校修学旅行 》
例年10月第4週は、中学校・高等学校共に修学旅行期間に充てています。 高等学校は2隊に分かれて二日ずらして出発します。2年生が修学旅行に行きますが、今年は第一隊の出発は、10月19日(日)で、第二隊の出発は10月21日(火)でした。昨年と同じ沖縄方面に4泊5日で行いました。 中学校は3年生で行くことになっていますから、3年生全部で6クラスが、一つの隊として行動しました。10月20日(月)に出発し、10月24日(金)に無事帰ってきました。京都・奈良・神戸方面に4泊5日の日程でした。 おおよその行程は、第一日目は新幹線で京都に昼前に到着し、その後、クラス毎のコース別研修です。宇治方面コース・比叡山方面コース・嵐山方面コースにそれぞれ分かれて行きました。 第二日目は、7〜8名の班に分かれ、タクシーを利用して終日自主研修で見学しました。見学場所は、班毎に検討を重ねて選定し、決まったら見学先について下調べを綿密に行いました。行く先は、清水寺、金閣寺、銀閣寺をコースの中に組み込んだ班は多く、中学校でも古典をある程度教科で取り扱う関係でしょうか、仁和寺をコースの中に選ぶ班も多いようでした。 第三日目は、京都の宿から奈良に向けてクラス毎にバスに乗車して出発しました。薬師寺で下車して見学の後、東大寺南大門近くで下車し大仏殿・二月堂・三月堂・若草山等を見学し、昼食後奈良公園を散策しました。興福寺でバスに乗車し、法隆寺を見学して、橿原の宿舎に泊まりました。 第四日目は、午前中は、飛鳥地区でレンタサイクルを利用して自主研修しました。午後は、神戸の宿舎に向けて西名阪・阪名道を通り、国立民族学博物館を見学の後、六甲山の夜景を楽しんでから、宿舎に入りました。 第五日目は、神戸港を船で巡った後、人と防災未来センターで震災に関する学習を経て、新神戸駅から新幹線に乗車し、帰郷しました。
《 薬師寺にて 》
上に記しましたように、第三日目の最初の見学場所は薬師寺でした。中門から入ると、有名な三重の塔が左右に二つ並んで建っています。各層にを付けていますので、六重に見えますが、三重の塔です。右側の東塔は730年に建立した当時のものが残っています。西塔も金堂も中門も昭和50年代に復元されたもので、煌びやかな色を残しています。金堂内に安置されている本尊の薬師如来は、白鳳または天平の古いものでありますが、堂は真新しく、違和感がないとはいえないたたずまいに見えました。これがしっくり映るようになるには今後何年の月日を要するのかなと思いました。 東僧坊で、僧侶の話を生徒と共に聴きました。現代っ子が思わず聞き耳を立てるような、今はやりの言葉を散りばめ、法話・説教のイメージとはかけ離れて、現代落語とまがうような話しぶりでしたが、生徒の受けが佳かったようです。若者に共通すると言われる痛い点を指摘しながら、生き方に注文を付けるなど、話しぶりは面白可笑しくソフトに、しかし中身は筋が通ってきっちりと話を進めるといった僧侶のやり方でした。
《 和同開珎 》
この僧侶の話の中に、金堂に安置されている本尊の薬師如来像についてこんな話がありました。「この薬師寺の伽藍が完成したのは、698年で、創建時に薬師如来は完成していた。その如来を鋳造した銅はどこから持ってきたと思うか」生徒に向けて質問がありました。質問の後すぐ答えを僧侶が言ってくれました。「和同開珎といって、日本で初めて銅が武蔵の国秩父郡から掘り出され、献上されたことを記念して、元号を和銅と改め、日本で銅銭銀銭の鋳造が初めて行われた。これを和同開珎と言うが、708年のことである。薬師如来は、それ以前に造られているから、仏像を造るための銅は中国から運んできたものである。大きくもない船で、どこにたどり着くとも判らない航海術の時代に、多くの危険を冒して銅を運び、皇后の病気平癒のために、薬師如来を鋳造した意味を深く受け止めるべきである」との話がありました。 ちなみに、東大寺の大仏開眼は、752年です。この大仏鋳造中に大仏の塗金に使う金が現在の宮城県で初めて発見されて、献上され金銅仏とすることが可能となり、聖武天皇が大いに喜んだという記述があります。日本が産業の上でも徐々に発展していく様子がわかります。 文化財が単に古いとか、美術史の意義だけでなく、こういう背景があることを知れば、当時の時代背景の理解が一層進むものと、目から鱗が落ちる思いをしたのは私だけではなかったと思います。 薬師寺の故高田好胤師もその話術の巧みさが有名でしたが、この僧侶も研究し研鑽を重ねたのであろうなと察しました。話術は努力によって上達するものだと思います。現代の学校教育ではそれほど重視していませんが、私は話術の要素を大事にしたいと考えています。話術は人となりを表す大きな要素です。
1 薬師寺金堂、三重の塔を背景に記念撮影
2 薬師寺金堂前
3 東大寺大仏殿前
4 東大寺中門前
5 東大寺大仏殿前灯籠脇
6 東大寺三月堂前
7 東大寺二月堂
8 東大寺校倉造横
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