第4回 高等学校 3年 音楽 鈴木恭介先生
我が国の伝統音楽に挑戦する
高3の選択ですが、伝統音楽に挑戦している生徒がいます。ユニーク授業といえる音楽授業を紹介します。
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鈴木恭介 先生 プロフィール
昭和25年生
本校非常勤講師の傍ら「江
戸里神楽」の継承者として公
演活動及び後輩の指導に当た
っておられます。活動範囲は
国内はもとより、外国公演も
多くフランス・アメリカ初め
世界各国で行っておられま
す。
特にベルギー・フランス公
演では、50日の間に50回
舞台に立ち、日本の伝統芸能
の世界的な認知に貢献され
好評を博しました。日本でも
TV・ラジオで活躍中です |
校長が見た 海城の芸術授業 |
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本校の芸術関係の授業時数は、中学校で、音楽1年、2年、3年それぞれ週に
1 .5 1 1 の時数を充てています。高等学校では、1年次に音楽・美術・書道のいずれかを選択して
週に2時間を充てています。また、高2では、文系コース選択者のみ音楽・美術・書道の
いずれか1科目を週に1時間充てています。高校では、文系コースだけになりますが、必
履修単位のほかに標準単位を超えて履修しています。
今回取り上げた授業は、高3です。高校3年生は、旧課程でカリキュラムが編成されて
いますので文Aコースには、芸術の選択があります。今年度の音楽選択者は4名です。今
回の授業は、我が国の伝統音楽である横笛、小太鼓を用いて演奏し、その曲に合わせて獅
子舞を踊るというユニークなものでした。獅子舞の獅子は、本物で獅子頭には白く長い毛
が付き、かぶり物に拵えてあります。
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お囃子の太鼓や笛の音が廊下に漏れる授業 |
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3年生は12月8日から期末考査が始まりますが、その直前に当たる授業で、最終授
業と位置づけられる授業を見せて貰いました。4人のうち、一人が獅子頭を頭に被り舞う
役、他の二人が小太鼓を奏する役、もう一人が横笛を奏でる役です。小太鼓の澄んだ音色。
凛として気合いを込めた演奏で張りがある横笛。それに合わせて舞う役が主役です。3者
の息が合って初めて鑑賞に値するものになります。長い曲ではありませんが、1曲が終わ
ると舞・太鼓・笛をそれぞれ交代して演じます。4人ともどれも完成していました。誰が
どの役を演じても4人息が合って見事でした。
その後、教科担当の鈴木先生が、CDから編集した笛と小太鼓の音源を用いてやや長い
曲の模範演技が披露されました。左のプロフィールのとおりこの分野の専門家ですから見
事なもので、舞い終わった後、生徒からその曲のある場面の所作のやり方について鋭い質
問が続いていました。そんな会話は師弟関係のあり方の見本を見る思いがしましたが、私
は途中で退出しました。
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授業の進め方 我が国の伝統音楽も取り入れて |
今回見学した授業は、我が国の伝統音楽でしたが、年間の授業の中では、西洋音楽もあり、鈴木先生のピアノ演奏による歌唱もあり、生徒のピアノ演奏があり、鑑賞も取り入れバランスを考慮した授業計画でありました。そういう間に太鼓や笛や舞いの練習を取り入れ、2学期の最終授業になりました。
受講生の一人は、アメリカの大学の入試を受けており、現在結果待ちと聞きました。指導している英語の先生に伺いますと、彼の実力なら合格するだろうといっておられました。もし、彼がアメリカの大学に入れば、これは、特技として十分な尊重と敬意を受けることは確かなことだと思います。
実際、今年の春アメリカにホームステイした生徒諸君は、「日々雑感」で記しましたとおり、獅子舞を演じて大きな反響を呼びました。
このような例からもお分かりのように、伝統音楽を体験によって理解し、演じられることは人の人生にとって重みがあり
広がりを持つものと思います。
太鼓の打ち方は5線紙の音符によるのではなく、口唱歌(くちしょうが)によります。この獅子舞の出だしは、テケテンテン
テンテンテンテン テケテンテン スケテンテンドンドン……と続くそうです。鈴木先生によりますと、5線符はむしろ特殊な世界に属し、世界の各民族の音楽は多くその人達の日常話している言葉の「口唱歌」によって受け継がれていると聞きました。私はそのような広がりがあることに驚きました。
高校は教育課程の移行期に当たりますので、芸術は、上記のように高2になりますがそこで何らかの工夫をして我が国の伝統音楽の分野も取り入れたいと斉藤音楽科主任から聴いています。
中1生は、12月13日(月)に音楽鑑賞会の一つとして、重要無形民俗文化財の江戸里神楽を四谷区民ホールで鑑賞します。その折りに、音楽の時間で習った太鼓を用いて若山胤雄社中の皆さんが生徒と共演して下さると聞いています。鈴木先生は、プロの一人として、江戸里神楽の一部を舞うことになっています。下の写真を参考にして下さい。
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生徒の反応 |
この音楽の時間を履修している6年1組村井宗一郎君は、今、アメリカのある大学の入学試験を受けてその結果を待っているところです。彼は入学したら竹製の正式な横笛を購入し持って行き、それを使って我が国伝統文化の紹介に努めたいと意気込んでいます。
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