第2回 高等学校 国語 教育実習生 庄野雄岳君 指導 本間純一先生

考える力を高める 国語

 

教育実習生 庄野雄岳君
中央大学在学
平成12年本校卒業生


指導教諭本間純一先生

昭和48年生

平成12年4月本校着任
野球部顧問

 

高校1年(1学期・6月) 海城の国語(現代文)
 

高校1年生「現代文」の授業

国語総合」5時間のうち、現代文は3時間を配当する。実習生が担当した小説教材は、中間考査後に予定していた2つの教材のうちの1つである。

教材は、「国語総合」現代文(東京書籍)に掲載される村上春樹の短編小説『鏡』である

 
授業づくりの狙い「小説に親しみ、自分なりの読みを言語化する」
 

実習生の教壇実習は、指導教諭の年間指導計画に従うものである。指導教諭は、授業の組み立てから実践に至るまで、適宜アドバイスを実習生に送る。実習生は、担当教諭と授業の狙いを共有しながら、実習生ならではの授業展開を模索する。

本教材『鏡』は、『ノルウェーの森』『ねじまき鳥クロニカル』『海辺のカフカ』などベストセラーを生み続ける村上春樹の短編小説(『カンガルー日和』所収)である。いわゆるベストセラー作家の書く現代小説であること、また短編小説であることから、小説に親しむための入門教材として設定されている。比較的読みやすいこの小説を通し、自分なりの「読み」を持たせ、それをきちんと言語化させることがこの教材を使った授業の狙いと考えられよう。

 本教材は、5時間配当である。

1時間目…@本文通読(指名者読み)。A課題提示の後、課題を各自考察(授業後提出)

※課題「鏡の中の僕とはいったい何者であったのか」→小説の「読み」に関わる問い。

2〜3時間目…講義(内容の把握)

4時間目…1時間目に提出させた生徒の意見をまとめたプリントをフィードバック。

5時間目…@作者「村上春樹」について。Aまとめ

 

5時間のうち、4時間目に相当する時間に研究授業がおこなわれた。
 
 
授業の進め方 作者が意図する主題を探り 自己表現能力を高め る
実施クラス…4年4組(45名)  実施日時…6月22日(火)4限

@提出させたプリントを返却(自分の書いた課題の答えを各自で確認させる)

※プリントには、赤で一人一人にコメントが施されていた。

A様々なタイプの生徒の意見をいくつかに分類した上で、各タイプにつき5、6人程度の意見を掲載したプリントを作成して配布、紹介する。

※掲載した一つ一つの意見の持つ視点のおもしろさ・鋭さなどを指摘することで、生徒に自分の意見との比較を促していた。

B『鏡』をどう読むかについて議論。C実習生自身の「読み」を披露。


本授業の狙いは次の2点に集約されると思われる。

@自分以外の者の読みに触れさせることで、自分の読みを見つめ直させる(→自己の読みの相対化)

A小説の「読み」を、教室にいるみんなで作り上げているという実感をもたせる(→主体的な授業態度の育成)。

生徒の反応・実習生の感想

高校1年4組 松井勇樹

授業がわかりやすく、とても楽しかった。板書の量が多くて手が疲れたけれど、村上春樹の作品の中に入り込むことができたので、とても充実していた。ところどころ雑談も混じって楽しかった。もともと国語は得意でないが、楽しかった。

教育実習生庄野雄岳君の感想

たった3週間であったが、教師という仕事の厳しさ、楽しさの一端を感じられて嬉しかった。 この経験を将来に是非生かしていきたい。生徒が気持ちよく迎え入れてくれたことに感謝します。