第1回 高等学校 理科 興味と関心を引き出す 茂木教頭


プロフィール

昭和28年生
大学時代はボート部に所属し、埼玉県の戸田にある漕艇場・合宿所で暮らして?いた。
  大学では、植物の組織培養と植物生理化学の研究を進めていた。
  恩師の誘いを受け、海城に勤務するようになる。

校長が見た 海城の化学
 

海城のカリキュラムの特長は、全員の必履修・修得単位数が多いことにあります。 詳しくは別掲のカリキュラム表をご覧頂きたいと思いますが、表では、高3では週の 中で、選択上空きが出るのは4時間だけです。

 その空きの4時間を持つ生徒は高3の中で、一割弱になっています。そのため、大多数の生徒は、大学受験に必要でない教科・科目の授業を受けています。

 学校によっては、大学受験科目だけを履修すればよいようになっているのも見かけますが、本校では、幅広い知識を得ることで生涯にわたって総合力を備えられることを重視しています。

 
業づくりの狙い「深く考えるきっかけを作る」
 

この授業を行っている高3のこのクラスは、化学を受験科目にしている生徒が居らず、ほとんどが生物を受験科目にしているようです。

 前年からの続きで、今年度の化学の授業は「有機化学」の分野を中心に展開されますが、大学受験との関わりで教科書で授業をするよりは、先生が準備した教材を主にして授業を展開するということを考えているようです。

 私が見ても、その方が興味関心がずっと膨らむように思います。

 有機化学は、メタン・プロパンでも合成繊維でも、食品関係でも、日常生活を送る上で、身近なものが溢れています。

 授業では、目から鱗の話題が一杯飛び出してくるに違いないと思います。 .

 
 
 
業の進め方 化学は、錬金術と不老不死の薬の追求から始まった

3年になっての最初の化学の時間は、化学が発達した歴史について「中世にヨーロッパで栄えた科学技術はどこで起こったと思いますか」 授業の導入はこんなところから始まりました。

 答は「紀元前に、エジプトで栄えた科学的手法が、シリアを経て6世紀ころアラビアに伝わり、11世紀にアラビアがスペインを征服することによって、錬金術としてヨーロッパに入ったと言われています。」

 「その証拠は?」

 「錬金術はAlchemyといいますが、アル(al)の接頭語のついた化学関係の言葉は今でも多く使われています。例えば、アルコール、アルカリ、アルデヒドなどこれはアラビア語起源といわれています。」

 この後、江戸時代の宇田川榕庵の書いた「舎密開宗(セイミみかいそう)」という日本最初の化学書の話(「セイミ」は「chemi」の音訳)や、日本の化学物質名の呼び方が、例えばNacl(塩化ナトリウム)の呼び方など「後ろから前」の形になったのは「漢文」の「返り点」を付けたからという話、更には薬の「丹」の話や、月に帰る「かぐや姫」から「不老不死の薬」をもらったお爺さんお婆さんが、それを燃やした山の名が「富士(不死)山」になったという「竹取物語」の話に及び、先生の博識の中から次々と興味深い話題が出る授業でした。

生徒の反応

高校3年1組 雨宮浩輔

受験に使わなくても興味関心が湧く

 高3の授業は受験に直結するものでなければならず、私には化学は化学は不要なものである。しかし、生徒の興味

関心を中心に据える茂木先生の授業は、大変有り難く、嬉しいものである。

高校3年1組 里見大空

目覚めのコーヒーのように爽やか

 1時間目に化学の授業があるお陰で、その日の授業を最後まで楽しくやり遂げられます。

 朝、目覚めの化学ですね、授業がわかりやすくていいですよ!