中2 PA合宿〜1隊
8月25日(土)から中2PA合宿が始まりました。隊編成は次のようになっています。
第1隊 1、2組
第2隊 3、4組
第3隊 5、6組
第4隊 7、8組
それぞれ一泊二日。第4隊の終了は29日(水)になります。仲間と協働することの意味を考える最良の機会となるPA。今回も生徒たちにとって、たくさんの気づきが得られる2日間になるよう願っています。
8月25日(土)から中2PA合宿が始まりました。隊編成は次のようになっています。
第1隊 1、2組
第2隊 3、4組
第3隊 5、6組
第4隊 7、8組
それぞれ一泊二日。第4隊の終了は29日(水)になります。仲間と協働することの意味を考える最良の機会となるPA。今回も生徒たちにとって、たくさんの気づきが得られる2日間になるよう願っています。
リレー講座の最終日。6日目の今日は「オイラーの公式」と「代数学の基本定理」の2本立てで盛りだくさんです。どちらのテーマも厳密に話を進めていくのは高校生でも大変なことなので、定理の内容の紹介と、その意味するところを感じ取ってもらうことを目標としました。
オイラーの公式とは「e^iπ = -1」というものです。数年前「博士の愛した数式」という小説や映画でも取り上げられ、割とよく知られている公式です。自然対数の底e、円周率π、虚数単位i、そしてマイナスが付いていますが、数の基本である1。これらが結びつき簡潔な式にまとまっているところに、美しさを感じ惹かれてしまいます。ですが、見た目には簡潔な式ですが、いざ、この式が表すことを説明しようとするとものすごく大変なことで、しかも、複素数に触れたのが5日前!という中学生に対しては、何を強調して伝えればいいか悩むところでした。(これはもう1つのテーマの代数学の基本定理でも同じです。)
まず、指数法則を複素数まで拡張していくとき、e^iθをどのように定義すればよいのかがポイントであることを強調して、e^iθのもっている指数法則が3日目のド・モアブルの定理によく似ていることに気づいてもらいます。そして、e^iθ = cosθ+i sinθ であることを実感する、という流れで行いました(写真1)。
e^iθ = cosθ+i sinθという関係式を認めてしまえば、オイラーの公式は単にθ=πと代入しただけなのですが、実は、この関係式は2つめのテーマの代数学の基本定理の話にも登場します。
代数学の基本定理とは「n次方程式は必ず複素数に解をもつ」というものです。1次方程式を習ったばかりの中学1年生では何がスゴイ定理なのかわかりにくいかもしれませんが、2次方程式を実数の範囲で考えると解なしの可能性があることを知っていれば、その意味も見えてくると思います。方程式 f(z)=0 が解をもつ、ということを実感することをメインにしたので、実際に複素平面上で関数 w=f(z) がどのような振る舞いをするのかをパソコンを使って見てもらいました(写真2)。
変数zが半径rの円(写真では黄色い線)を動くときに、関数の値w=f(z)がどのような図形(写真では赤い線)を動くのかを、さまざまなrに対して観察し、w=0となる、つまり、赤い線が原点を通るようなrが必ずあることの雰囲気を感じました(写真3)。
また、関数f(z)が2次式のときは値の赤い線はクルクルっと2回転、3次式のときはクルクルクルっと3回転するのですが、その理由を e^iθ を用いて説明して、今日の講座を終了しました(写真4)。
(小澤 嘉康)
リレー講座もいよいよ、終盤戦。五日目の今日は編集子の川崎が担当致しました。
今日のテーマはリーマン面。これはその名が示すように、数学史上の大立者であるBリーマンの天才により与えられた概念です。
まずは、昨日、平山先生から紹介のあったzの複素関数のバトンを受けて、w=z^2が、w=z^(1/2)になってもやはりzの関数なのか?を問題提起。結果、zの関数とはならない(写真1)ものの、そこで「切り捨てることなく」、なんとか関数として「認め、活かす」方法はないか?と考えた末に出てきたであろうリーマンの天才と偉大な精神による卓抜なアイデアを紹介(写真2)。
そして、立体射影により、球面上の北極以外の点をひとつとると、それは必ず複素数平面上のひとつの点に対応すること、および北極は、昨日登場した仮想の「無限遠点」に対応することにすれば、複素数平面は球面と「ある意味で」同じとみなしてよいことを解説しました。
後半は、その「ある意味」とはなにか?を探求。まずは、事物の「ほどよい」分類の基準とはなにか?を考察し、今回は立体の場合についてのほどよい分類の基準とは何かを考えました。「面の数による分類」は強力、と思いきや曲面に関しては無力。さて、どうするか?との問題提起から、その一解答は「同相」にあることを解説。穴空きの多面体にも適用できるよう、一般的なオイラーの多面体定理を紹介し、穴の1つあいた多面体に対して定理を適用しました(写真3)。はてさて、同相の考え方は納得されたでしょうか。ここで、今日の前半の話題を合流させ、w=z^(1/2)の(コンパクト化された)リーマン面が球面に同相であることを示し(写真4)、これ以外の数式で表されたリーマン面が、一体、いくつの穴があいた曲面に同相になるのかという問に答える、いわゆる「リーマン・フルヴィッツの公式」を紹介し、実際に受講者と共に、穴の数を計算してこの日を終えました。
また、授業後は多くの生徒が教室に残って“位相談義”に花を咲かせていました。また、各自で持参した粘土でトーラスに同相なコーヒーカップを作ったり、実際に球面の三角形分割をしてオイラーの多面体定理を確かめていました(写真5)。
なにかと話題沢山となったこの日ですが、受講者の皆さんが思いを馳せる話題はあったでしょうか。わたくしは、リーマン面のアイデアに至ったリーマン博士の精神に、心を熱くするものを感じており、生涯に渡り留めておきたいと切に思います。
さて、明日はいよいよアンカーの登場です。ご期待ください。 (数学科)
昨日までは、いわば「準備編」であったリレー講座。後半の三日間はいわゆる「複素関数論」の初歩を垣間見ます。
後半戦の初日は平山先生による「複素数平面上の幾何」と「複素数の関数」の解説です。まずは昨日の内容を復習された(写真1)あと、平面図形を複素数平面に配置して、複素数を利用した直交条件などを概観(写真2)。「複素数平面の上に置く?そんなことをしても大丈夫なのかなぁ…」といった感じの中1生が少なくなく、また受講者全体から「さすがにこれは前半戦よりは手強いぞ」という雰囲気がひしひしと感じられます。ちなみに、このリレー講座は他校からも先生が来訪されて、聴講されております(写真3)。
そして、いよいよ本講座の本題といえる複素関数の話題に突入しました(写真4)。
まずは一次関数を具体的に与え「幾何学的に」考察。果たして一次関数とは回転と平行移動の合成となることが示され(写真5)、大いに頷く中3生(数学部員の由)が印象的でした。
最後は一次分数関数にまで話題はおよび、具体例を用いて、いわゆる「円円対応」を解説されました。これは、複素数平面上の「円または直線」は一次分数関数によって「円または直線」に写ることを述べたものです。(写真6)に見ることのできる“無限遠点”の導入により,複素平面上の円は「リーマン球面」上の円と捉えることができることからこのように呼ばれているようです。
さすがに、時間の制約からリーマン球面についての詳しい言及はなされなかったのですが、このリーマン球面が明日のテーマの理解をするための鍵を握っています。
それにつけても、さすがに数学愛好者の集う本講座。欠席者が殆どいません。この調子でラストまで駆け抜けてください。(数学科)
最終日は,化石採集がメインでした。この日は葛生地域を訪れ,葛生化石館の奥村学芸員の案内で,化石館の見学と化石採集を行いました。午前中に,化石館で展示の見学と解説,この地域の化石の特徴を勉強し,昼前から採集に出掛けました。現地では,少し山を登り,古生代のペルム紀の石灰岩をたたくと,フズリナ,ウミユリ,腕足類,コケムシ,サンゴなどの化石が採集できました。炎天下でしたが,山の中は木陰で心地よい風が吹き,化石も採れたので,とても良い一日になりました。
3日間,多くの方々にお世話になりました。どの方も熱心に面倒を見ていただき,とても幸せな巡検旅行だったと思います。ありがとうございました。感謝の気持ちを忘れずに。
2日目は盛りだくさんの内容でした。まず住友大阪セメント栃木工場を見学しました。ここでは,セメント作りの行程と木質バイオマス発電所を案内していただきました。日本の鉱物資源である石灰岩をどのように利用しているかや,工場の自然環境への配慮とその対策を教えていただきました。その後,近くにある棚田(ここのは沢田という)を案内してもらい,棚田を巡る農業の大変さや問題などを,実際に棚田を管理している方の話も聞きながら教えていただきました。途中,沢沿いに色々な岩石や生き物を観察することもできました。最後は,住友大阪セメントの唐沢鉱業所を見学させてもらい,ダイナミックな鉱山の採掘の様子とズリから鉱石(石灰岩)を採集させていただきました。夜は,あきやま学寮という所に宿泊し,古代生活体験をさせていただきました。地学という純粋な学問分野だけではなく,それと我々の生活がどのようにつながり,またどのような問題がそこに散在するのか,少し垣間見ることができたのではないでしょうか。これは,現地に出向いて経験したものがわかることで,本やTVでは理解しにくいところだと思います。おいそがし中,お付き合いいただいた住友大阪セメントの方々,棚田を案内して下さった方々,どうもありがとうございました。
三日目の今日は前半戦のハイライトである「複素数の掛け算の図形的な意味」(いわゆる、ド・モワブルの定理)の紹介がテーマ。担当は小林先生です。まずは、初日に用いられた題材を今日のテーマの伏線とされました(写真1)。巧みなストーリー構成を感じます。前の走者との好連携を思わせ、こういった点がまさに「リレー」講座のよさでありましょう。
演習問題は、この二日間の内容の理解に重点をおかれ、中学生に不安を感じさせない配慮がみてとれます。中1生もそれに応えて、cos135°やsin135°の値を難なく答え、この二日間の内容の理解が十分であることが伺えます(写真2)。そして、極形式の紹介に話は入りました。いよいよ、本題というわけです。
360°を越える角のcosやsinの値についても違和感はないようで、中学生諸君の柔かな頭に舌を巻くほかはありません。まさに「鉄は熱いうちにうて」を実感します。
ところで、ややもすると、「おはなし」に終始するのでは?と思われがちなリレー講座ですが、授業内の演習にも十分時間が用意されています。とりわけ、今日の小林先生はその点を配慮され、だからこそ、今日初めて聞くテーマについて問われても躊躇することなく答えられる(写真3)のも納得というものです。
十分な演習と具体例の考察を経て、いよいよ、数学史上、有数の大定理であるド・モワブルの定理が登場。
ところで、小林先生のテキストによれば、このド・モワブル卿。フランスの数学者で1667年に生まれ、1754年に没したそうです(写真4)。また同先生によれば、ド・モワブル卿自身は三角関数に興味があり、今日いわゆる「ド・モワブルの定理」と称される表示に整理したのはC.F.ガウス(ドイツ・1777-1855)だそうで、編集子には大変に勉強になりました。
さすがに、今日初めて聞いたこの定理について、全員が感嘆の声をもらしたわけではありませんが、それでも中1の生徒を含め、何人かは感心しきりでした(写真5)。彼らはこの定理に「なにか」を見たのかもしれません。
とにもかくにも、極めて順調に前半戦が終了しました。
後半戦は、複素関数の具体例の紹介(4日目)、リーマン面出現(5日目)、代数学の基本定理(最終日)と続きます。(数学科)
今日から2泊3日で,栃木県宇都宮市と佐野市を中心にフィールドワークを行う巡検旅行を行います。初日は,栃木県立博物館を訪れ見学するとともに,以前,地学部でイルカ化石を発掘した時の化石のクリーニングを行いました。以前もお世話になった柏村学芸員らの指導のもと,午後は,4〜5時間も熱心に細かいクリーニング作業を行いました。なかなかの集中力でした。
リレー講座「複素数の世界」。初日の昨日は複素数を概観し、複素数平面にまで至りました。
複素数平面を導入せんとすれば、極形式の話は欠かせません。そのためには三角関数を学ぶ必要があります。この三角関数、高校生はすでに学んでいるものの、中学生には未知の話題です。
そこで、この日は三角比からスタート。担当は北村先生(写真1)です。
「いやはや、(中1と中2向けに)ピタゴラスの定理から話すとなると思いやられますよ」と思案顔だった同先生。しかし、意欲ある彼らに対しては杞憂でありました。
昨日同様、平易な導入(3:4:5の直角三角形を利用した三角比の計算・写真2)に始まり、徐々にステップアップ(写真3)。このスムーズな展開と、温和な北村先生のキャラクターとが相俟れば、なるほど未知の内容を、それも決してゆっくりとは言えない進み具合で習っているのにも関わらず、心配顔の生徒が皆無なのも納得です。
終盤、“大物”である加法定理が登場(写真4)。北村先生曰く、「この定理の証明を扱わなかったことをはじめ、今日はなにを話して、なにを話さずにすませるか、その判断を最後まで決めかねていたのです。結果、断腸の思いで、多くの点において、計算例の紹介にとどめました」。編集子はこの判断が奏功したとみます。だからこそ初学者にとっても三角関数の計算に手がついたのでしょう(写真5)。
何を以って幹と考え、そしてまた何を以って枝葉と考え、勇気を持って切り落とすか−この種の講座のみならず、日々の数学の授業にて、担当者は常にこの点で葛藤していると思召せ。
ともあれ、明日は前半戦のハイライトである「ドモワブルの定理」の登場です。(数学科)
今年で三回目となる本校数学科独自の「夏期リレー講座」。毎年、テーマを設定して、リレー形式により、日替りで担当者が計6人登場します。
第一回目は「アーメスのパピルスからペレルマンまで」と題した古今東西の約3600年の数学史を、昨年はE.Galois生誕200年を祝して「ガロア理論」を扱いました。本年のテーマは「複素数の世界」です。
今年も本校の、数学を愛好する生徒が一堂に会しました(参加約40名)。
今年は意欲旺盛な中1生が多く参加してくれ、スタッフとしても大いにやりがいを感じます。同時に、意欲旺盛とはいえ、つい半年前はまだ小学生であった彼らに複素数のイメージをどう伝えるか、そして道具だてとしての数々の高校数学をどう伝えるか、が過去二回以上に、本講座の焦点のひとつとなりましょう。
さて、初日の今日は、「複素数とはこんなもの」なるタイトルで宮崎先生が担当(写真1)。実数を拡張した数の集合のひとつである「複素数」を概観しました。
「足して10、かけて40になるような2つの数はなんだろう?」なる導入が奏功して、中1も全く違和感なく取り組みます(写真2)。
そして、虚数単位「i」が正でも負でも0でもないことまでが、実にスムーズに示され(写真3)、いつしか、複素数の幾何的なイメージにまで話は進みました(写真4)。
そして、なんと複素数平面を紹介するまでに至り(写真5)終了しました。
後述の参加者の声にもあるように、実にスムーズな進行で、スタッフ一同、心底、トップバッターを宮崎先生にお引き受け頂き、安堵し、そして感謝をした次第です。
幸先よいスタートがきれた本年のリレー講座。明日は三角比の導入、そして三角関数に至る予定です。
土曜日までの一週間、ご期待ください。 (数学科)