7月21日の月曜日に始まった今年度のイギリス海外研修も、本日で最後になりました。
皆、様々な思いを抱えながら研修最終日を迎えたことと思います。
スピーチに関しては、皆、誠に驚くべき進歩を見せてくれました。
日本では「人前で話す」という訓練自体を(少なくとも私が把握している学校教育の枠組においては)そもそもあまり行わないため、外国語で、しかもジョークやジェスチャーを交えながら多くの人々の前で話をするということはチャレンジングだったことでしょう。しかしながら、30人全員がその壁を乗り越えようと毎日必死に課題に取り組み、熱心に授業を受けることができました。2週間という短い間ではあるものの、勇気を持って親元を離れ、異国の地で全力を尽くした生徒達に対して、大きな拍手を送りたいと思います。よく頑張りました!
引率教員2人にとっても、大変楽しい仕事でした。それはこの30人の誰一人が欠けても感じることのできなかった気持ちだと感じています。研修を成功裏に終わらせようと一人一人が努力してくれた結果、皆が清々しい心持ちで帰国することができました。君たちのおかげで、とても楽しみながら仕事をさせてもらうことができました。どうもありがとう。
野暮を承知で、英語の勉強について一つだけこの機会にアドバイスをするとしたら、私は、「英文法をしっかりと勉強しなさい」ということを伝えておきたいと思います。英会話の重要性だけが殊更に強調されやすい今日、会話と文法が対極にあるという誤った考えを持ってしまっている生徒がいないか、やや不安です。2つは決して対極にあるものではなく、その相互作用でどちらの力も伸びるものです。文字のない言語はあっても、文法のない言語は存在しない。言語学の基本です。実際のところ、文法無視で適当に言葉を並べるだけでは、生徒のスピーチも決して聞いていて心地よいものとはならなかったでしょうし、英国人も相手にしてくれなかったことでしょう。半月に及ぶ研修を終え、外国語を学ぶことへのモチベーションも最大限に高まっている今、生徒諸君にはこの研修を単なる良い思い出に留めることなく、学校生活や日常生活のあらゆるところに活かしてほしいと、心から願っています。そして、そうすることができる生徒達だと、強く信じています。
さて、最終日は、Oxfordに立ち寄り、最後の観光を楽しみました。
到着後、明日香さんの後に続き1時間程Oxfordの街並みや風情を楽しんだあと(Merton Collegeの外観も眺めることができました)、自由時間としました。自由時間の間には、ここOxford大学で教鞭をとっていたLewis Carrollの作品、「不思議の国のアリス」関連のグッズを売っているお店に立ち寄った生徒もいたようです。その後、Christ Church前に再集合(本当に長い列でしたが、団体は優先的に入れて頂けました)、ハリーポッターの撮影の舞台としても使われたというダイニングホールを見学、皆、ここぞとばかりに写真を撮っていました。
Oxfordを後にし、現地時間の夕方4時半頃にロンドン、ヒースロー空港に到着。Departureのところで明日香さんとはお別れです。彼女の助けがなければ、我々は異国の地のあらゆる場面で途方に暮れていたことでしょう。心よりお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。チェックイン、出国審査も無事に(でもなかったけれど、とりあえず)済み、約11時間のフライトの後、羽田空港に到着しました。久しぶりの親御さんとの再会はどうだったでしょうか。
この2週間、大きな事故や怪我もなく、無事にこの研修を終えることができたのも、
保護者の皆様を始めとした多くの方々のご理解、ご協力があってのことだと強く感じています。国内外を問わず、我々に対して常に友好的な姿勢を示してくださった全ての方々に、この場をお借りして満腔の謝意を申し述べたいと思います。ありがとうございました。
2週間お世話になったホストファミリーとのお別れのときです。
ラドクリフ・カメラにて。
クライスト・チャーチにて。
クライスト・チャーチの階段を上がって行くと、、、
(この階段、あの人と初めて会うシーンですね!)
例の食堂です。
例の中庭です。
クライスト・チャーチの中庭にて。
ここも見覚えありませんか?
いよいよ、イギリス研修も残すところあと2日となりました。
今日は、世界遺産にもなっているBathにbusで向かいました。busの中にはBethも乗っています。(私もオヤジギャグが好きな歳になってきたのでしょうか…(笑))片道2時間位ですから、ロンドン旅行の時よりは自由時間も長くとることができます。言うまでもなく、(じゃあ言うな、って言わないで)Bathは、お風呂を意味する英語bathの語源になった都市であり(実のところ、温泉があったからBathと名付けられた説の方が有力らしいのですが、まあ、そこはいいでしょう)、イングランド有数の観光地です。日本人の方も数多く見かけました。作家Jane Austen(1775-1817)が住んでいた場所でもあり、英詩の父と称えられるGeoffrey Chaucer(c.1343-1400)の「カンタベリー物語」に出てくるThe Wife of Bath(バースのおかみ)は、ここの出身という設定ですので、文学好きにもたまらない場所なわけです。Beth先生もおっしゃっていたのですが、新しいものと古いものがうまく融合しているところだな、という印象を持ちました。特に医学部が名高いバース大学があるということもあり、若者にも人気の都市です。
到着後は、まず、ローマンバースミュージアムへ直行。日本語のオーディオガイドを片手に、各自で見学を行いました。今は、水(お湯?)に触ることはできませんが、Giles先生によると、1970年代位までは、水着姿で水に浸かっている人がいたとのこと。今では想像できませんが…。映画「テルマエロマエ」の影響もあってか、生徒は食い入るように展示物を見学していました。日本人にとっての銭湯と似たような役割も果たしていたようで、何となく親近感もわきますね。その後、John Wood(1704-54)という建築家の手によるサーカス、ロイヤルクレセントというユニークな建物を見学し、自由時間としました。お土産も、だいぶ買っていたようですが、果たしてスーツケースに入るのでしょうか…?
帰りのコーチの中では、再び3人の授業担当の先生方から心温まるメッセージを頂くことができました。明日香さんからも、大変に勇気付けられるメッセージを頂きました。Beth先生、Giles先生とは、今日でお別れです。本当にどうもありがとうございました。
ローマン・バース・ミュージアムにて。
まさにテルマエ・ロマエの世界です。
サーカス。
英国人の先生方から説明を頂きました。
ロイヤル・クレセント。
こちらでも、英国人の先生方から説明を頂きました。
ロイヤル・クレセントにて。
イングランドのカントリーサイドの素晴らしい景色も、明日で見納めです。
いよいよ、スピーチの本番の日を迎えました。
昨日は充分な睡眠をとれたのでしょう、朝会では、皆、概ねいい表情をしていました。
(明日はBath訪問、そして明後日には朝早くGreat Malvernを発ちますので、図書館での朝会は今日が最後ということになります。)
午前中は、本番に向けて椅子をセッティングし、来るべき午後のプレゼンテーションに向けて最後の練習をしました。各先生から、それぞれの生徒に対して最後のアドバイスが与えられます。午後からは、多くの方々が見にいらっしゃる予定ですから、聴衆を前にして話す最後の練習を一人ずつ行いました。先生方は3人とも、リラックスして本番に臨むことの大切さを最後に強調されていました。母語でも外国語でも、緊張の度合いが低ければ低いほど、いいパフォーマンスができるものですからね。なお、1時間目が終わった後には、研修の記念として、クラスごとの集合写真も撮りました。
ホールで昼食をとりながら、皆でフェアウェルパーティーの会場のセッティングや出し物の最終確認を行っていると、2時を過ぎた頃から、ホストファミリーが続々と来校なさいました。海城生は、スピーチを聴きに来てくれたホストファミリーをそれぞれの会場へと案内します。スピーチには、ホストファミリーを始め、様々な人に対する感謝の気持ちも込めたいところです。
本番は、2時半にスタート。皆、ジェスチャーやビジュアルエイドを極めて効果的に用いながら、非常に素晴らしいスピーチをすることができました。数日前にも紹介しました通り、テーマは多岐にわたっており、「日英のWriting Cultureの違い」、「風呂文化の日英比較」、「紋章についての考察」、「車と人々との関わり」、「比較文化論的視点から見たお笑い文化」など、極めて興味深い内容のスピーチの連続でした。スピーチの冒頭で、多くの生徒が効果的なジョークを入れていたのも印象的でした(センスオブユーモアは英国人が最も重んじる気質の一つと言われています)。2週間前にこの研修が始まった頃には自分のテーマすらも正確に発音出来なかった生徒が英国人を前にして堂々とスピーチをしている姿や、睡眠時間を削って練習を重ねた生徒が少したどたどしくても自信をもって英語を話している様子に、引率教員も込み上げてくるものがありました。実際に2週間を異国の土地で過ごし、異なる習慣や文化、考え方に触れる中で、生徒達は鋭くかつ的確な比較文化の視点を身に付けたように思います。これは日本に帰ってからも大切にしなければいけない視座であり、自分と異なる考え方の持ち主や、様々なバックグラウンドを抱えた多種多様な人々と関わる際に、常に心に留めておきたい事柄だと言えるでしょう。自分と異なるものを忌み嫌い、退けることは容易なことです。しかし、地理、歴史、文化、気質、あらゆる要因を常に考慮に入れながら人々と触れ合い、様々な考察を行うことで、そこには薄っぺらでない、真の意味での国際交流が生まれるに相違ありません。極めて高い教授レベルを維持しながら、生徒一人一人に対して辛抱強くかつ真摯に向き合って下さった3人の授業担当の先生には、感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。
スピーチのあとは、Closing Ceremonyが行われました。
まずは、フェアウェルパーティーに先立ち、修了証書の授与が行われました。
3人の授業担当の先生方は、それぞれのスピーチの中で、海城生を教えることができて大変素晴らしい気持ちになれたし、楽しい時間を過ごすことができて嬉しかった、と述べられました。なお、この研修中特に進歩が著しかった、あるいは特に努力を惜しまなかった生徒に対して、各クラスから2名ずつ特別賞が授与されました。(もちろん、賞が仮に10個あるとしたら、10人全員に授与したいところだ、と3人ともおっしゃっていました。)生徒代表のスピーチも堂々たるもので、2週間このカレッジで学んだことが活かされているように感じました。
フェアウェルパーティーの出し物も、ホストファミリーの方々に大変喜んで頂けました。
ビートルズの歌では一緒に盛り上がってくださったり、折り紙のパフォーマンスでは一緒に折り紙を折って参加してくださったり、また、柔道の実演(趣向を変えてホールの真ん中で行いました)では、お子さんを始め、多くの方々が近くまでいらっしゃり、興味津々のご様子でした。全員での歌の合唱も、大好評でした。
今日は、スピーチを無事に終えることができた達成感と、フェアウェルパーティーを成功させることができた充実感を抱えながら、一人一人が心地よい眠りに落ちることでしょう。
明日のBathには、授業を担当してくださった3人の先生方も同行してくださいます。では。
クラスごとの写真。
スピーチの様子。
フェアウェル・パーティにて、サックス+ピアノ+ベース+ボーカルのバンド演奏。
折り紙披露。
先生方も挑戦中!
かさまわし。
7月31日から8日2日にかけて,中3〜高2の希望者20名が参加し,気仙沼,南三陸,陸前高田を巡る東北・被災地での研修旅行を行いました.
3日目(最終日)は,昨日の夕方から渡った気仙沼大島で被災地のイベントの手伝いをしました.気仙沼大島の小田の浜というところで,「はまべのちから2014」というイベントが行われ,海岸のゴミ拾い,受付,ビラ配り,ビーチサンダル飛ばしのスタッフとして,半日強,お手伝いさせていただきました.生徒にも言いましたが,お膳立てされての活動はボランティアではありません.語り部さんの話の中にも,自衛隊の方々が自分たちは缶詰を食べテントで寝ながら,暖かい炊き出しを被災者の方々にふるまったと聴きました.今回の研修旅行のほんの少しの恩返しであるとともに,今後,本当の意味でボランティアとして被災地や色々なところで活動してくれる生徒が出てきてくれればと思います.
7月31日から8日2日にかけて,中3〜高2の希望者20名が参加し,気仙沼,南三陸,陸前高田を巡る東北・被災地での研修旅行を行いました.
2日目は,午前中に気仙沼,午後に陸前高田を巡りました.早朝6時から気仙沼の魚市場を見学,朝食後は,語り部さんに気仙沼市内(気仙沼内湾,鹿折地区,唐桑半島など)を案内してもらいました.午後は,陸前高田に移動し,陸前高田の語り部さんに,旧道の駅「高田松原」,有名な奇跡の一本松,阪神淡路大震災の兵庫県から届いた「希望の灯り」をはじめ,市内各所を案内してもらいました.この研修旅行でご案内いただいた語り部さんは,皆それぞれの悲しみと向き合いながら,震災体験を話しておられ,経験に基づいた説得力と熱心な語り口調に引き込まれました.生徒諸君は,この経験を自分の学校生活に活かし,また東北の復興にも関わって欲しいと思いました.
7月31日から8日2日にかけて,中3〜高2の希望者20名が参加し,気仙沼,南三陸,陸前高田を巡る東北・被災地での研修旅行を行いました.
1日目は,南三陸を中心に学びました.早朝に東京駅を出発し,くりこま高原駅からバスに乗り継ぎ,まず南三陸さんさん商店街にやってきました.この復興商店街でそれぞれ昼食としましたが,少し地元の方々と交流できた生徒もいたみたいです.その後,南三陸の街をバスで巡りながら,語り部の方にバス車窓から,またバスを降りて実物を前にしながら解説をしてもらいました.この日は気仙沼に移動し,宿泊しました.
7月28日から30日にかけて,第38回全国高等学校総合文化祭 いばらき総文2014が行われ,自然科学部門はつくば国際会議場にて3日間の日程で行われました.メインは,全国の都道府県予選を突破した高校生による自然科学分野の研究発表ですが,それ以外にも,宇宙飛行士の古川聡さんの記念講演,生徒交流会,研究者との交流を行うサイエンスカフェ,天体観測会,各分野の巡検研修など,多岐にわたって刺激の多い3日間でした.こういう総文祭での経験が,とても貴重な人材の輩出につながるように感じました.
地学部では,高校2年の西尾君が東京都代表として研究発表を,高校1年の2名が観覧者として参加しました.惜しくも入賞はなりませんでしたが,この3日間の刺激を,今後の研究につなげ,来年度,滋賀県で行われる「びわこ総文祭」への出場,入賞を目指して,地学部として頑張って欲しいものです.
*研究発表内容
◎研究発表【地学部門】C33 東京都 海城高等学校 高校地学部「エアロゾルが夜空の明るさに及ぼす影響」(2014.7.29 11:18〜11:34)
*参照ページ
いばらき総文2014自然科学部門:http://www.edu.pref.ibaraki.jp/soubun2014/nature.html
いばらき総文2014:http://www.edu.pref.ibaraki.jp/soubun2014/index.html
予約する時にbookと言えるようになり、tomatoの発音にも慣れ、"Do you need a lift?"という質問にもとっさに応えられるようになってきた今日この頃。しかし、あと3日もたてばGreat Malvernの街を発たなければなりません。お世話になったTourist Informationのスタッフの方(Bathの無料ガイドブックも頂きました!)にも、引率教員二人でお礼のご挨拶に伺いました。
さて、Great Malvernに来て初めての雨(shower)に見舞われた11日目の様子をご報告致します。いよいよ翌日がスピーチの本番、というところまで来ました。
午前中は、土曜日に訪れるBathについての文章を読み、世界遺産についての前提知識を得ました。やはり、事前にいろいろと学んだ上で見学した方が楽しいですからね。読むのに苦労している生徒も見受けられましたが、そういう様子を見ていると、「日本でしっかりと基礎的な力をつけておかないといけないなあ」と思います。今回は海城生のために特別に準備されたプログラムで学んでいるわけですが、海外の大学や大学院では、大抵の場合、リーディングやライティングの課題が容赦なく大量に出されるのが普通です。PhDレベルだと、当然のことながら、膨大な量の文献を読みこなした上で、文法に則った正確な文章を数百ページにわたってまとめなければいけません。英会話の重要性だけが強調されやすい昨今ですが、与えられた英文を正確に読みこなし、文法的に正しい文や論理的な文章を書けるようにしておくことは、これまでも、そしてこれからの時代においても、極めて重要なことなのです。とりわけインターネットの存在感がますます高まっている今、正確に文章を読む力を身につけておくことの意義は計り知れません。
午後は、3クラス合同で図書館に集合し、各クラス一人ずつの三人組になり、他のクラスの生徒に自分のスピーチを聴いてもらいながら発表の練習をしました。他のクラスの生徒に対してスピーチをすることで、明日の本番に向けたよい準備となったようでした。先生方からも、絶妙のタイミングで励ましの言葉やアドバイスが飛びます。「昨日よりずっといいよ!」「今の発音、カタカナ英語だったわよ!」「もう少し肩の力を抜いて、アイコンタクトを意識して!」スピーチ自体はもう出来上がっていますから、あとはそのスピーチをより魅力的なものにするために、各自工夫を加えながら練習に練習を重ねていました。生徒達の表情が、かなり自信に満ちたものになってきており、明日の本番が非常に楽しみです。
Heather先生とBeth先生のクラスのスピーチの発表は授業を受けた教室で、Giles先生のクラスは図書館で行われます。発表の順番は、各先生が決定します。(詳述は控えますが、ここも各先生の個性が現れ、面白いのです。)ホストファミリーも発表を聴きにいらっしゃる予定です。
では、次号をお楽しみに。