理科・地学部 日原鍾乳洞・奥多摩巡検
地学部は,2月11日(木・祝)に,東京都奥多摩にある日原鍾乳洞と奥多摩駅周辺の氷川層で化石採集を行いました。このあたりは,古生代と中生代の地層でできている東京都でも非常に古い地層(石灰岩)がみられます。日原鍾乳洞は,その古い石灰岩が二酸化炭素を含んだ水(雨や地下水)によって溶かされてできた鍾乳洞です.このような石灰岩は奥多摩地域に点在するため,他にも鍾乳洞もたくさんあります.石灰岩が二酸化炭素を含んだ水によって溶かされる作用は,風化作用(特に化学的風化)と言います.鍾乳洞は,化学的風化の典型的な地形の1つになります.洞内では,天井から落ちる水滴に含まれる炭酸カルシウム(CaCO3)が固まり氷柱のように垂れ下がった鍾乳石が見られたり,天井からポタポタ落ちる水滴からできた石筍が,まさに筍(タケノコ)のように地面から伸びている様子が観察できたりします.これらは,非常に長い年月をかけてゆっくり作られたもので,風化作用が作り出した地中の大空間と造形美が素晴らしかったです.学校で習う学習項目である風化や侵食などの地学的現象を,実際に目の当たりにすることができ,深い学びになったのではないでしょうか.
鍾乳洞内の最も大きな空間での写真。自然の壮大さと悠久の時間を肌で感じました.(以下,拡大可能です)
「金剛杖」と呼ばれる石筍と,上には鍾乳石や鍾乳管.長い時間をかけてゆっくり成長したこれらの鍾乳洞の構造物は,まさに自然の造形美です.何十年?何百年?かかるのだろう?「金剛杖」という名前が付けられており,洞窟各所の名称から自然崇拝として日原鍾乳洞の姿も見えてきます.
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奥多摩駅に集合し,まずは徒歩で2km弱ほど歩いて氷川層を見に行きました.立派な化石とまで行きませんでしたが,サンゴ礁からできたジュラ紀の石灰岩を観察できました.
一度,奥多摩駅に戻り,バスで東日原バス停へ移動.そこから鍾乳洞まで30分くらい徒歩.残雪もある中,稲村岩と呼ばれる石灰岩の岩が現れて,つい写真撮影.
こちらは中1で習う河川の浸食による地形.Vの字に下方侵食しているのが良くわかります.頭での理解だけではなく,本物を見るのはとても良い勉強です.
鍾乳洞に入ってすぐの氷柱が.入り口は冷え込みますが,奥へ入っていくと10℃を超える気温でした.
ノッチと呼ばれる侵食地形.昔の地下水面の位置をこのノッチから判断することができます.
「世紀の断層」と呼ばれる断層.左側の平らな斜面は人間が削ったのではなく,断層によって地層がずれ,その際に境界部が磨かれてできました.鏡肌と言います.
網があってわかりにくいですが,天井から伸びた鍾乳石と地面から伸びる石筍が出合いそうなもの.もう少し(といってもいつになるか)で念願かなって出会うと,石柱になりそうです.
鍾乳洞内のコウモリ.2匹いますがわかりますか?中央とやや右上です.他にも,人間がつけた照明のところにはコケや地衣類が.また,小さな昆虫のような生き物など鍾乳洞内の生物も見られました.