中学3年 コミュニケーション授業8
修学旅行の事後学習として、中学3年生で行っている「コミュニケーション授業」。今回は1組・5組を担当していただいている、柴幸男さんの1回目の授業を紹介します。
柴幸男さんは「ままごと」を主宰し、演劇活動を行っています。本校でワークショップ講師を務めていただくのも3回目となります。
1年目は、ラップを使って修学旅行を振り返るワークショップを行っていただきました。柴さんは、第54回岸田國士戯曲賞を受賞された『わが星』にも、ラップを取り入れられていました。
昨年度は1人5秒の演劇を創りながら、修学旅行を振り返るワークショプを行っていただいています。
今年度はあらかじめ生徒たちに、修学旅行先から売り物ではない思い出の「何か」をひとつ持ち帰ってくるという課題が出されていました。普段は捨ててしまうような、誰も持ち帰らないような、そんな自分だけの思い出の「何か」をひとつだけ持って帰ってくるという課題でした。
授業当日、生徒たちはその「何か」を持参して授業に臨みましたが、まず始めにそれぞれの席についたままできるゲームを行いました。
「ち」ではじまる「丸いもの」の中で、他人が思い浮かべないだろうものを一つあげるゲームをした際に、柴さんがおっしゃったことが印象的でした。
「地球」などは、多くの生徒が思い浮かべます。他に誰も言わなかったとしても、固有名詞であったり、修飾語がついてものだったりすると、「それあり〜?」などの声があがります。しかし、ある生徒が「チームワーク」と言った時に、何とも言えないどよめきが起こり、拍手がわき起こりました。
ゲームが終わった後に柴さんは「今のは簡単なゲームでしたが、人に何か伝るとか、人に説明するとか、何か作品を創るということはこれと似ていると考えてください。伝わらないと面白さは分かってもらえないけれども、すごく簡単に伝わるものだけ選んでいても面白いかどうかはちょっと分からない。みんなも『おお〜』とか『わ〜』とか思わず拍手してしまうようなものがあったと思うんですけれども、そういうものを目指すのがいい作品とかクリエイティヴの方向性かなという感じがしています」と語りました。
良い表現とは何か、クリエイティブな方向性とはどういうことか。これほど分かりやすい説明は、個人的には初めてでした。
この後、生徒たちは旅行先から持ち帰ってきた「何か」を題材に、それぞれクリエイティブな発想で、作品を創っていきましたが、その様子はまた次回ご報告します。