理科 地学部 井の頭・善福寺の湧水巡り
11月30日(土),地学部は,午後から井の頭公園と善福寺公園を訪れ,湧水めぐりをしました.この2つの池は,いずれも50m等高線に沿って分布しており,武蔵野礫層の地下水が湧き出てできた湧水池です.湧水によって窪んだ地形ができ,そこから流れ出した川が台地を削り,谷地形になっています.このことは,実際に周辺を歩くことによって,坂道などとして感じることができます.この2つの池から流れた水は,いつも高田馬場で見る神田川へと流れ,普段の川の流れがどこから発生しているのか,知ることも出来たのではないでしょうか.また,現在,これらの湧水は地下水位の低下によって自然には湧き出さなくなってしまいました.今は井戸を掘って汲みあげて池を保っているので,湧水池というのは過去のものと言えるかもしれません.戦後の地下水の過剰利用が地下水位を低下させ,また道路の舗装などで浸みこむ雨の量が減ったことが要因だと考えられています.都内のあちこちで起きている湧水の消失という問題は,湧水が見えない地下水の状態を知るバロメータであることを教えてくれます.フィールドワークをしながら,そのスケール感,実際の様子を見て,人間と自然の関係を少し理解してくれればと思います.そして,自然の恩恵とも言える美しい紅葉も愛でることができました.良い一日になったでしょうか.
昔,ここに湧いた湧水は,徳川家康が愛でたという歴史があり「お茶の水」と呼ばれ,この辺りは「井」の「頭」と言われるわけです.井の頭から流れる水は,善福寺池の湧水とも合流し,神田上水として江戸の人々の飲み水となった歴史があります.