中1生&高1生・数学コラボレーション企画「多面体の部屋」開催
17日午前8時半より「多面体の部屋」が開催されました。これは、高1有志が、中1有志に対してレクチャーを行う実験的な試みです。
今回は、「折り紙の名手」である高1井上立之君をメイン講師として迎え、中1有志約20名に対し、「(トゲ付き)ねじれ正12面体」(写真1・井上君作成)を折り紙での作製を伝授するものです。
このねじれ12面体は、実に頂点の数60、辺の数150、面の数92という「大物」です。
まずは、井上君作成によるオリジナル教材により、オイラーの多面体定理を復習しながら、この立体の性質を解き明かすことからスタート(写真2)。そして、先輩有志の指導(写真3)により、作製に必要な折り紙の「ユニット」が続々と作られていきます(写真4)。とはいえ、実に210個のユニットが必要ゆえ、仮に1個を30秒で折ったとしてもおよそ2時間かかるという、まことに根気を必要とする作業です。井上先輩直伝による作業に笑顔も出る中1生(写真5)たち。あらかた必要なユニットを作成したところで丁度お昼。
昼食後、気分転換を兼ねて、多面体に関する講義が2つ行われました。
まずは中1学年主任の春木先生により、「正多面体が5種類しかない」ことの証明と、ねじれ12面体のような「変形正多面体の存在条件」の計算法が紹介されました(写真6)。とりわけ、後半の話題については、中1のみならず、高1生が一様に「そういうことだったのか!」と言いながら、面白い面白いと連呼していたのが印象的でした。
春木先生のバトンを受けた執筆子は、「同相」の考え方を解説し、オイラーの多面体定理の一般化を解説しつつ、直方体の3つの対面をそれぞれ直方体で貫通させたら、穴がいくつの曲面と“同相”になるか?などを、手持ちの“キャラメル”を用いて急場しのぎで作った多面体と、粘土で作った曲面を用いて参加者と共に考えました(写真7)。
さぁ、残り2時間でラストスパート。相当、いいところまで追いつめた班もありました(写真8)がさすがに最後は息切れしてタイムアップ。実に7時間の講習会となりました。
完成することはかなわず、井上講師はしきりに残念がっていましたが、「ここまでやったんだから自宅に帰ってから完成させたいです」とファイトを燃やす中1生が少なくなく、こういったスピリットを会得しただけでも参加した価値は十分にあったと思われます。完成の暁には是非、写真に撮ってきてください。
ともあれ、参加者の皆さん、お疲れ様でした。そしてなにより井上立之君、有難うございました。
今後も、機会を見つけて、数学を通した上級生と下級生とのコラボレーション講座を開講したいと思ってやみません。企画の持ち込み、大歓迎です。お待ちしております。
(数学科教員)