海城&YSFH・第1回数学交流会開催
8月に既報の「マスフェスタ」にて、横浜サイエンスフロンティア高校(略称はYSFHとのこと)2年生の増田卓斗さんと知己を得た編集子。10日の午後、増田さんの研究の詳細を勉強すべく、本校高1の井上立之、恩田直登、増田康隆、山口哲の四君とともに同校を訪問致しました。恩田、増田両君は増田さんとは「マスフェスタ仲間」でもあります。
これは、同校数学科主任である高口健一先生と中山大輔先生のお骨折りによるものです。セミナールームで待機されていたのは増田さんに加え、同校の物理数学部の高1生である石井菜摘さん、紙谷将さん、村野あやねさん、両角光平さんでした。
お互いの自己紹介の後、まずは待望の増田さんの「ウラム螺旋」上の三角数が織り成す興味深い結果を詳細にお話頂きました(写真1)。これについては、先日、研修旅行で訪問されたマレーシアでも発表(英語による)されたそうです。
概要についてはマスフェスタにて既に伺ってはいた編集子でしたが、研究の苦心談や喜びも交えてお話を頂き、新たに胸が踊りました。そしてなにより、この研究の「美しさ」に心奪われた次第です。初めて聞く海城の生徒達も感に堪えない面持ちで聞き入っていま
した。
約1時間の発表の後、質疑応答に入りました。今まで、聞き入っていた海城の生徒は堰を切ったように猛然と質問を開始。決してこの機会を無駄にはすまいと、深い理解に努める様子がありました。のみならず、増田さんの研究において、「こういったケースではどうなりますか?私はこう考えますが」などと談論風発。その度に、「それについてはこういう結果がありまして…」と説明される増田さん(写真2)に一同舌を巻きました。「これもやりました、あれもやりました」ということなく、含羞みながら説明される姿に、増田さんの謙虚な人柄と悠々迫らぬ自信を垣間見た思いです。
宴ならぬセミナーもたけなわとなり、海城の4人が現在の興味関心を披露する機会を頂き、恩田君は「自身による定理のこと及び黄金角」について(写真3)、増田君は「自身による二次元における円順列公式の三次元への拡張」(写真4)を、山口君は「階乗進法の拡張」を、井上君は「折り紙の幾何」について、それぞれ説明致しました。YSFHの皆様から反響を頂け,一同の励みになりました。このことを編集子は自分のこと以上に誇らしく思いました。
発案が発案を呼び、楽しい討議はとめどもつきない様相を呈し、ふと時計を眺めれば、はや開始から三時間余。図らずも、編集子と高口、中山両先生から同時に「今日を第一弾ということで、今後も継続的に交流を致しませんか」との言葉が発せられました。研究の楽しさに顔が上気している海城の4人、否、5人でありました。
最後に、YSFHの皆さんの、増田先輩の研究についての感想をお聞したところ、両角さんは「この研究がまだまだ新たな結果を産むであろうことの期待と確信」を、紙谷さんは、「でき合いのものではない増田さん自身の発想の素晴らしさに感銘し意欲を掻き立てられた」ことを、村野さんは「結果のエレガントさに心惹かれた」ことを、石井さんは「頭が真っ白になるほどの感激」を、それぞれ語られました。そして記念に集合写真を撮影し散会しました(写真5。左が高口先生,右が中山先生)。
帰り際、高口、中山両先生のご厚意で、YSFH校舎ツアーをして頂いたのですが、筆舌に尽くしがたい、とはまさにこのこと。その数なんと20を越える実験室をはじめ、研究者育成のための充実した施設の数々(写真6)。果ては天文台までを擁す(写真7)となれば、驚愕と同時に、眼福でもありました。
鶴見駅までの帰途、互いに連絡先を交換し、長きに渡る交流を約するこの高校生達を見て、同気相求め、同類相依り、を実感。青春讃歌を謳わずにはおれませんでした。
YSFHの皆さん、是非本校へ来校されましての「第二弾」は如何でしょうか。
ともあれ、私共を厚く遇してくださいましたYSFHの皆様に心よりお礼申し上げます。大変に有難うございました。
(数学科教員)