地学部 SQM観測開始(コアSSH連携観測)
7月に研修会に参加し,連携校にさせていただいた愛知県立一宮高校のコアSSH「小・中・高校と天文台との連携による光害研究と小中高校生の科学的資質の育成」の本校での観測が始まりました。この取り組みは,各地の夜空の明るさを継続的に調べ,「光害」を研究するもので,本校地学部では日本有数の都市である新宿区の観測点として観測・研究を開始したいと考えています。
10月16日の放課後,設置の準備をしてきた夜空の明るさを測定するSQM(スカイクォリティメーター)を設置し,無事に観測を開始することができました。ちょっと遅くなりましたが,しっかり観測していきたいと思います。
SQMのデータは,校舎内のPCに取り込まれます。早速,データをはき出してみました。
16日と17日の空の明るさの測定値です。縦軸が明るさを表す等級(値が小さいほど明るい),横軸が時間です。晴れている16日と,曇っていた17日の違いがはっきり出ました。以下,地学部の生徒の分析です。
<地学部天文班の分析>
16−17日の17日に入ってからの4:00頃に急激に明るくなっているが、これは雲が出てきたため。よって最後の経時変化(時間による数値の変動のこと)が一致している。これは天気が同じ日は経時変化が一致することが確認できる。それとは反対に16:45〜の経時変化は快晴であるため、経時変化が異なっている。雲がない日(赤のグラフ)は数値が低い(明るい)がこれは太陽光が直接来るからで雲がある日(緑のグラフ)は数値が高い(暗い)がこれは雲によって太陽光が遮られるからである。
17−18日のグラフ(緑)は夜も雲が出ていたため数値がとても不安定になっている。グラフから雲があると光害を反射してさらに空が明るくなることが確認できる。雲に薄い所や濃いところがあるため数値が不安定になっていると推測できる。
16−17日のグラフ(赤)は急激に変化しなくなった後もだんだん暗くなってきている。これは人間活動の影響を表したものであると思われる。夜が遅くなるにつれて人間活動が減少する(つまり光をあまりつけなくなる)ので光害の影響が少なくなるからだと推測した。
これらのことから実際に快晴の日に屋上にカメラを設置してインターバル撮影をすることで明かりが時間とともに消えているかを見てみたいと考える。またこのことが人間活動を表していることが立証できればいろんな地点で測った際にこの部分の変化をみることで光害の影響の度合いを調べられると思った。このグラフは月明かりがない時に測ったので月齢の影響がない。よって月明かりの影響も今後調べたい。
最後まで読んで下さった方に,おまけです。設置した日の日の入り直後に,8階から見えた「地球影(Earth’s Shadow)」です。ちょうどスカイツリーも入りました。青色の部分が「地球影(Earth’s Shadow)」,ピンクの部分は「ビーナスのベルト(Belt of Venus)と呼ばれます。不思議だなと思ったら調べてみてください。
参考:
愛知県立一宮高等学校
http://www.ichinomiya-h.aichi-c.ed.jp/index.html
コアSSH「小・中・高校と天文台の連携による光害研究と小中高校生の科学的資質の育成」
http://www.ichinomiya-h.aichi-c.ed.jp/ssh/icoassh.html