第3回数学科リレー講座「複素数の世界」初日
今年で三回目となる本校数学科独自の「夏期リレー講座」。毎年、テーマを設定して、リレー形式により、日替りで担当者が計6人登場します。
第一回目は「アーメスのパピルスからペレルマンまで」と題した古今東西の約3600年の数学史を、昨年はE.Galois生誕200年を祝して「ガロア理論」を扱いました。本年のテーマは「複素数の世界」です。
今年も本校の、数学を愛好する生徒が一堂に会しました(参加約40名)。
今年は意欲旺盛な中1生が多く参加してくれ、スタッフとしても大いにやりがいを感じます。同時に、意欲旺盛とはいえ、つい半年前はまだ小学生であった彼らに複素数のイメージをどう伝えるか、そして道具だてとしての数々の高校数学をどう伝えるか、が過去二回以上に、本講座の焦点のひとつとなりましょう。
さて、初日の今日は、「複素数とはこんなもの」なるタイトルで宮崎先生が担当(写真1)。実数を拡張した数の集合のひとつである「複素数」を概観しました。
「足して10、かけて40になるような2つの数はなんだろう?」なる導入が奏功して、中1も全く違和感なく取り組みます(写真2)。
そして、虚数単位「i」が正でも負でも0でもないことまでが、実にスムーズに示され(写真3)、いつしか、複素数の幾何的なイメージにまで話は進みました(写真4)。
そして、なんと複素数平面を紹介するまでに至り(写真5)終了しました。
後述の参加者の声にもあるように、実にスムーズな進行で、スタッフ一同、心底、トップバッターを宮崎先生にお引き受け頂き、安堵し、そして感謝をした次第です。
幸先よいスタートがきれた本年のリレー講座。明日は三角比の導入、そして三角関数に至る予定です。
土曜日までの一週間、ご期待ください。 (数学科)
【参加者の声】
1.中1 加藤翔君
板書、内容ともにとても分かり易かったです。前々から疑問に思っていたことが丁度扱われ(導入の部分とのこと)、とてもよく理解できました。先生が中1に合わせてくれたのでよかったです。今まで知らなかった、未知のことに触れられる期待感で80分がすぐに感じられました。
2.高1 上野寛幸君
中1にスポットを当てていたので授業が丁寧すぎる印象を持ちました。
私はこれまでで複素数を詳しく習っているわけではないのでこの時期に授業に先駆けて触れられるのは楽しみです。明日以降は、数学史における複素数の話題を期待したいところです。
【授業をしてみて】
5日目にリーマン面,6日目にオイラーの公式・代数学の基本定理を学ぶということで,
初日の今日は,「複素数」とはどのようなものかということから話をしました.
受講生の中で約半数が中学1年生ということで,「虚数」や「複素数平面」の概念や考え方を「平易な言葉で厳密に」を目標にして授業をしました.
授業の途中で「平方根」や「展開公式」など,まだ知らないことが多く出てきましたが,
しっかりついてきてくれたのでこちらとしても楽しく授業ができました.
また,高校生にとっては馴染みのある「i」ですが,今回の授業で何かしらの発見があれば嬉しく思います.
80分という限られた時間の中で,伝えきれないことも多かったのですが,生徒がしっかりと聞いてくれたおかげで,なんとか終えることができました(宝探しは残ってしましましたが).
この講習をきっかけに数学に少しでも興味を持ち,自分たちで何かを考えたり,調べたりしてもらえたら,私にとってこれ以上ない喜びです。 (宮崎 篤)