中3生“フィボナッチ研究集会”に独自の定理で参加する
“フィボナッチ数列”をご存知でしょうか。これは,
1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144…
となる,つまり,第n番目と第n+1番目の数の和が第n+2番目の数となる数列のことです。
この数列は,数学的興味のみならず,自然界の様々な現象に登場することでも興味あるものといえましょう。
例えば,“ひまわりの種”を螺旋に沿って数えると出現しますし,また,“蜜蜂の家系”を辿っていくとやはりこの数列が出現する,といった具合に,実に豊饒な世界が拡がっている数列なのです。
それゆえ,世界中にこの数列を愛好する多くの人々や研究者がおり,1963年には国際フィボナッチ協会が創設されています。同協会は1984年以来,二年に一度の定期総会を開催(本年7月にハンガリーにて第15回総会を開催予定)しているほか,“The Fibonacci Quarterly"などの専門誌を刊行するなど盛んな活動がなされています。
そして我が国にも,“日本フィボナッチ協会”が組織されており(会長は中村滋・東京海洋大学名誉教授),昨年まで既に9回の研究集会が開かれています。
記念すべき第10回目の研究集会は,去る3月23日に東京海洋大学で行われ,様々なプログラム(写真1。日本評論社・数学セミナーメディアガイドより転載)のなか,本校の中学3年生恩田直登君(写真2。昨夏,初の対面となった際の恩田君と中村滋先生)もそこに名を連ねました。
これは,恩田君が中学1年生の時,授業で扱われた
『2つの2桁の自然数AとB(A>B)に対して,AとBの最大公約数を互除法で求める際,その適用回数が最大となるようなA,Bを決定せよ』
なる問題(答はA=89,B=55)をモチベーションとして,大量の計算実験を敢行の末,ユークリッド互除法とフィボナッチ数列に関する定理を発見,証明したことによるものです。
現在,恩田君は海城プレスでここ数日,詳報されている米国バーモント州での海外研修に参加中ゆえ,同君の発表用原稿を学年の数学担当者が代読し、発表してまいりました(写真3)。発表後,参加されている多くの先生方より,「中学生が一つの問題から出発して独自の定理を導く・・・。若さとは本当に素晴らしいものですね」、「数論の伸び盛りは14歳前後とよく言われますが,恩田君もまさにそうですね。今後が楽しみです」などといった声を頂戴しました。
“授業をモチベーションとして生徒独自の研究が生れる”
これほど授業者冥利に尽きることはありません。授業者として,今後一層の奮励努力を胸に秘め,越中島を後にしました。
ともあれ、恩田君の益々の活躍が期待されます。