2010年度 中学地学野外実習〜沖積地の地質と地盤沈下現象
11月1日(月),毎年,理科(地学)で行っている中学生の希望者を対象とした野外実習が行われました。今年度は,少し趣向を変えて,我々に身近な都市の地球科学を勉強しようと,テーマを沖積層の地質と地盤沈下としました。東京の低地を作っている沖積層は,地質学的にはごく最近の地層で,あまり固まっていないため,地下水の過剰揚水などが原因となり地盤沈下を起こしています。今回,実際にビルが傾いたり,基礎がしっかりした建物が浮き上がったりするのを自分の足で歩いて見学しました。言われてみないと見逃してしまうものですが,そこがポイント。人間の感覚では気づかないところから,自然のバランスは崩れていくこともあります。実際に目で見て学んだ貴重な経験を,様々な方面に生かして欲しいです。この後,11/4(木)には,野外でのまとめの事後指導も予定しています。
理科・地学科
国会議事堂の門の壁。石材によく使われる花こう岩。議事堂そのものは中国地方の花こう岩だそうです。こんなところにも地球科学が隠れています。
次に,日本水準原点を見に行きました。日本水準原点とは,日本の高さの基準となると点で,ここを出発点にして,日本各地の土地の相対的な標高が決められています。
その後,徒歩で新橋方面に移動しながら,地盤沈下で浮き上がったビルを見学し,実際の変位量を測定しました。階段はビルが浮き上がったため,跡で設置されたものです。
地盤沈下で傾いたビル。写真だと難しいですが,わかりますか?ビルとビルの間のすきまに注目してください。真ん中の青いビルの右側の間隔がありません。
こちらも地盤沈下で浮き上がった施設です。同じく地盤沈下による浮き上りで設置されたものです。ここでも変位量を測定しました。1m以上のずれも!