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 2008年度地学野外実習〜北関東の火山灰と遺跡 報告

少し遅くなりましたが、2学期に行った本年度の地学野外実習の報告をいたします。
11月1日(土)の創立記念日に、本年度も地学野外実習が行われました。中学生の希望者を募り、授業では体験できない本物の自然に触れ、より深く地球科学を学んで欲しいと企画しているものです。今年は、北関東の火山灰と遺跡と題して、岩宿遺跡と岩宿博物館、赤城山麓で火山灰層を巡りました。
数日前の予報では雨も心配されたものの、当日は快晴。関越道を走るバスからは、赤城山や妙義山など火山性の山並みがきれいに見られました。岩宿遺跡は、日本列島でも旧石器時代の文化の存在を証明した遺跡で、日本が世界史レベルでも位置付けられるきっかけとなったところです。事前に発見者・相沢忠洋氏の「岩宿の発見」を読んでもらい、現地では、実際に遺跡や博物館を見学しながら、発見までの経緯や出土品、当時の人類のくらしや環境を、熱心にワークシートを埋めながら学んでくれました。
昼食後は、火山灰の露頭へ向かいました。岩宿をはじめ、関東地方には関東ローム層(赤土)と呼ばれる約1万年前以前の火山灰が堆積しており、当時は活発な火山活動により人類は生活できなかったと考えられてきました。岩宿の発見は、遺跡は出ないと考えられた赤土からだったのです。一方、火山灰層は地層の年代や時代を決める鍵となり、地質学や考古学でも重要な地層です。岩宿遺跡の博物館でも見た赤城湯ノ口軽石層や榛名八崎軽石層、そして、授業で顕微鏡観察を行った鹿沼軽石層を現地で観察し、それぞれ採取しました。また、九州から飛んできた麻阿蘇や鬼海カルデラの火山灰も含まれていて、大規模な噴火とそれを運ぶ偏西風のすごさも感じました。
連休初日で移動にやや時間がかかりましたが、みな熱心に取り組み、けがや事故もなく協力的に行動してくれ、授業でやったことがより深まる体験になったのではないでしょうか。

1関越道を走るバスから見た赤城山

2遺構の保護観察施設でのビデオ鑑賞

3相沢氏の銅像の前で説明を聞く

4岩宿博物館の見学1

5岩宿博物館の見学2

6火山灰観察の露頭

7火山灰の採取(鹿沼軽石層→授業でも見た火山灰です)

8火山灰の採取(赤城湯の口軽石層)

9記念撮影

 実習後、期末考査最終日と答案返却日の午後には、希望者を対象に火山灰の顕微鏡観察を行いました。そのままでは火山灰中の鉱物は汚れていてきれいに見えません。特殊な薬品で脱鉄処理をし、プレパラートにする作業をみんなで挑戦です。作成したプレパラートで顕微鏡観察を行い、スケッチまで行いました。全体を通して、自分で野外に出かけ生の火山灰を採取し、それを学校に持ち帰りプレパラートにして観察するという一連の実習を行い、研究者さながらの経験となったのではないでしょうか。

10火山灰の脱鉄処理をして鉱物表面の汚れを取る。

11脱鉄した火山灰をふるいにかけて粒子を振り分ける

12脱鉄処理をして、プレパラートにした八崎軽石層

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