校長室からメッセージ 8
《 古典の暗唱 》
2月のある日、校長室の近くに位置する第1会議室から和歌を大きな声で読み上げる声が聞こえてきました。
ハハーン、あれが始まったなと私にはぴんと来ました。そう、和歌を朗詠するのは中学生のあるクラスの「カルタ大会」です。この文章の見出しをカルタ大会とわざとしなかったのです。男子校でカルタ大会とは今時そんなことをやっているの……と不思議がられる可能性もあるかなと思ったからです。
本校では、伝統的に長い間中学生にこれを課してきました。
中学のどの学年でも、冬休みの課題として1年生には、百人一首の25句程度を抜き出して指定し、暗唱するよう指導します。
冬休みの休み明けの、国語の時間に10分程度の小テストをします。
例えば、和歌の上の句だけを書き、下の句欄を空欄にして、記入させるなどの方法をとるのが一般的のようです。ある点数以上をとれないと居残りになることもあるようです。そのようなやり方で、進みますから、生徒はいつの間にか覚えてしまうようでこれが2年生、3年生と続きますから、3年生では勿論100首暗記するようになるようです。
第1会議室ばかりではなく、中学校の教室からは、2月中はこの百人一首の読み上げの声が廊下を巡回したとき、良く聞こえてくることがあります。クラス大会、学年大会が行われることになっています。
中学2年生では、学年末考査の最終日、テストが終わった後に、クラスの代表選手による学年大会がアリーナで行われることになっています。
1年生はクラス内でカルタを行うときは、「散らし」という方法で、行い、学年大会では、「源平」という本式な方法で行われるようです。
“六字決まり”という言葉があり、和歌の最初から読んで6字目で、やっと下の句が確定できる和歌があるそうです。例えば、「きみがため はるののにいでて わかなつむ」という上の句と「きみがため をしからざりし いのちさえ」という上の句があります。2つの句を比べるとなるほど 先頭から6字目で違う句というのが判ります。
また、1字札というのが、7枚あり、最初の1字を聴いただけで、もう下の句を拾い上げる強者もいるそうです。上の句を読み始めたら、下の句を想起し、その札を探しにかかるわけですが、6字決まりはこれ、2字決まりはあれなど、百首を全て諳んじるだけではまだ完全とは言い難い奥の深さも併せ持っているもののようです。
和歌は日本の誇る芸術の一つですから、遊びの形をとおして、百首もの和歌を諳んじているのは、将来大きな財産になるものと思います。
これから改訂しようとしている学習指導要領では、「我が国の伝統文化」を更に重んずるということになり、俳句、和歌が見直されることにもつながると思われます。
本校は、むしろ先んじてこうした行事を行っているということになるでしょうか。
関係する話題として、ある社の主催している全国的規模の俳句大会で、学校全体が取り組んでいると云うことで、「学校優秀賞」を受けています。
また漢字検定でも、「最優秀団体賞」を本校中学校が受けたことをこのホームページでお知らせしたことがあります。漢字検定も全員が受験しています。
校長 和 田 征 士